WeWork創業者・Adam Neumann氏の別会社に注目集まる。社名は「Flow」

Adam Neumann氏の不動産スタートアップ・Flow設立からこれまでの流れを取り上げる。モダンな集合住宅の外壁が写り、不動産企業に関する記事と分かるアイキャッチ画像

2023年11月に経営破綻したWeWorkの創業者であるAdam Neumann氏が立ち上げた別のスタートアップが、米国で注目を集めている。こちらも、不動産関連の企業である。

その会社の名は、「Flow」。ウェブサイトを読む限りでは、米フロリダ州マイアミやサウジアラビアのリヤドで賃貸住宅を提供している。また、Flowには著名ベンチャーキャピタル(VC)のAndreessen Horowitz(a16z)が投資。この事実が、Flowに注目が集まる要因となった。なお、Flowのウェブサイトのクレジットには社名として「FOL Management LLC.」と記されており、正式社名はこちらの可能性が考えられる。

WeWorkと聞いて日本の読者が思い出すのは、ソフトバンクグループによる投資と経営破綻で被った巨額の損失であるだろう。ソフトバンクからWeWorkへの出資額は約160億ドル(2兆4000億円。2023年11月のレート)。一方、WeWorkの破綻で生じた損失は、143億ドル(2兆1000億円。同)だった。なお、WeWorkの日本事業は、ソフトバンクが引き取る形で現在も継続している。

シェアオフィスを展開するWeWorkのビジネスが行き詰まったのは、コロナ禍が主な原因とされている。一方、Flowに関する報道の中には、Neumann氏が浪費していたとの指摘もある。

前出のa16zは、2022年8月のFlow設立と同時に3億5000万ドル(467億円。当時レート)を投資していた。このとき、a16zの共同創業者であるMarc Andreessen氏は、ブログで米国が住宅危機に陥っておりその変革のために投資した、と理由を述べていた。

この際も相応の注目を集めていたが、今、再び取り上げられるようになったのは、4月にa16zがさらに1億ドル(143億円。現行レート)を追加投資したからだ。

a16zのAndreessen氏が、米国の住宅危機についてブログで書かれた内容は、同国内の住宅建設を上回るペースで世帯数が増えていることと、住宅ローンを組むにしても賃貸住宅を利用するにしてもさまざまな課題がある点を挙げていた。

その課題の指摘から少し時間が経った現在、米国経済はインフレーションが終息していないという観測がある一方、Donald Trump大統領は米連邦準備制度委員会(FRB)へ利下げするよう圧力をかける。この点で、Flowへのニーズを鑑みると、環境的には不透明な状況だ。

また、冒頭で触れたFlowのウェブサイトは、コミュニティーとのつながりやウェルビーイングを強調している。こちらについても、Andreessen氏はコロナ禍から通常の生活に戻るプロセスで、ニーズが生まれるはずだとしていた。この点は、共感する読者もいるかもしれない。

とはいえ、インフレ持続の前提に立った場合は、多くの消費者にとって可能な限りの衣食住の確保と生活防衛に気持ちが傾いてしまうのも、また事実だ。