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Marc Schröder
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スキップしてメイン コンテンツに移動Microsoftなどが学術誌『Nature』に寄稿した同社のAI基盤モデル「Aurora」による気象予測に関する論文が21日(ウェブ版)、掲載された。論文は、Paris Perdikarisペンシルベニア大学工学部准教授やMicrosoftの研究者など18人が執筆したものだ。
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一般ユーザーも利用する大規模言語モデル(LLM)を含めAIにはトレーニングが必要だが、Auroraの場合、気象衛星、気象レーダー、観測所、シミュレーション、天気予報など100万時間以上のデータを学習させている。
2023年7月に発生した台風「トクスリ」(日本名「令和5年台風第5号」)の進路予測では、米国立ハリケーンセンターの予測を上回る結果を残した、と論文に記された。これは、機械学習モデルとして初の事例になるという。なお、トクスリは鷲を意味する韓国語。2023年のトクスリはフィリピン、中国に上陸し、数十人の死者を出したため、台風のアジア名に関する命名規則により、この台風限りで使われなくなった名前である。
Auroraは、大気質や波に関する予測も行う。2022年にはイラクで大規模な砂嵐が起きることを、1日前に予測。大気質は、さまざまな化学反応や人間の経済活動が複雑に作用するため、従来、予測が困難だった。AIに向いた分野といえるかもしれない。
波の予測で論文に例示されているのが、2022年の台風「ナンマドル」だ。日本名は「令和4年台風第14号」であり、西日本で死者を出すなど甚大な被害をもたらした。接近した韓国でも、被害が確認されている。
Auroraのナンマドルでの波浪予測は、既存のものと同等かそれ以上の結果を出したと、記された。
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論文の共著者の一人であるMicrosoftのMegan Stanleyシニアリサーチャーは、AIによる気象予測は既存の天気予報に取って代わるものではなく補完するものである、と同社コーポレートサイトの記事で語っている。以下は、Stanley氏のコメントだ。
「Auroraが物理法則を正しく理解しているとするならば、さまざまな気候条件下で予測を行うのに十分な堅牢性を備えているはず。これは、この種のシステムとしては初めてのものであるが、最後になるわけでもない」