米Hippocratic AIが日本市場参入を発表|ユカリアと提携

米Hippocratic AIはユカリアとパートナーシップを締結し、日本市場への参入を発表。両社のロゴが写り、関連する記事であると分かるアイキャッチ画像

米シリコンバレーの医療向け生成AI開発スタートアップであるHippocratic AIは7日、医療経営支援企業のユカリア(東京)とパートナーシップを締結し、日本市場へ参入すると発表した。

Hippocraticは2023年に設立。Polaris Constellation SystemというAI基盤が主力プロダクトで、すでに米国内の医療機関で利用されている。患者と医療従事者のコミュニケーションに使われる生成AIで、Hippocraticの発表によるとその回数は185万に上る。Polarisの存在により、投薬、栄養の摂取、病院のポリシー遵守などを継続的に確認する他、患者がうまく言葉にできないケースでの支援も行えるという。

ただし今回、日本市場へ投入するプロダクトは、医療行為とは可能な限り関係のない場面に限って利用できる、生成AIとなる。臨床医を支援するもので、診療の予約、慢性疾患患者のチェックインなどの患者対応で負担軽減を図る。

企業としてのHippocraticを深堀りすると、これまで2億7600万ドル(401億円。現行レート、以下同)を資金調達。2023年5月のシード資金調達ラウンドの時点で、Andreessen Horowitz(a16z)やGeneral Catalystといった著名ベンチャーキャピタル(VC)が投資に応じた。また、このときの調達額は5000万ドル(73億円)であったので、これまでの2年間でさらに2億ドル超を確保したことになる。

また、Hippocraticをユニコーンとして見る向きもある。企業データベースのCrunchbaseは、HippocraticがIPOする可能性を5段階中で2番目に高位置となる「Probable」と評価する。

一方、ユカリアは2005年設立。病院経営のサポートやコンサルティング、医療関連のDX支援を行う。昨年12月には、東証グロースに上場した。

両社のパートナーシップ締結、日本市場での展開にあたり、HippocraticのMunjal Shah共同創業者兼CEOは、次のようにコメントしている。

「ユカリアとのパートナーシップは、多言語対応だけでなく、地域に根ざし臨床的に安全で文化にも適応した生成AIエージェントを構築するという当社のコミットメントを反映したものだ。日本の医療システムは世界最高水準だが逼迫しており、当社の技術は品質や信頼性を損なうことなく、システムの能力を有意義に拡張できると確信している」

また、ユカリアの三沢英生社長も、「まずは国内の医療機関への導入を目指すが、今後はより幅広い活用を検討し、より多くの人々が健康に暮らせる社会の実現に貢献したい」と、展望を語った。