有色人種の創業者を投資対象としたVC・South Loop Venturesとは?ライス大学・Chevronから資金を受けファンド組成

有色人種の創業者に投資するVC、South Loop Ventureを取り上げる。テーブルの上でさまざまな肌の色の人が手を組み合い、DEIに関したVCを取り上げる記事と分かるアイキャッチ画像

米テクノロジーメディアのTechCrunchは、20日付けでテキサス州ヒューストンのベンチャーキャピタル(VC)、South Loop Ventures(SLV)を取り上げた。有色人種の創業者が率いるシード、プレシード期の企業を主な投資対象とする、VCだ。その記事と公になっている情報から、SLVを見てみたい。

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SLVは2022年、Zach Ellis Jr.マネージングパートナーにより設立。Ellis氏は、オハイオ州コロンバスのVCであるRev1 Venturesのマネージングディレクター、PepsiCoのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)やオハイオ州立大学・ウィスコンシン大学の研究の事業化などに従事した人物だ。

同社がウェブサイトに掲載するポートフォリオによると、具体的な投資先として人の母乳をフリーズドライさせるサービスを展開するMilkyfy、麻酔専門看護師向け求人マッチングのLokum、ウィッグ・エクステンションのカスタマイズ商品を販売するUPGRADEなど、テック寄りの企業からウェブサービスまで多種多様となっている。

TechCrunchで記事となったのは、Rice Management CompanyとChevron Technology Venturesをアンカー投資家(大口の投資家)とした、SLVの「ファンドⅠ」の組成がきっかけであるようだ。Rice Management Companyはライス大学の基金、Chevron Technology Venturesは石油大手・ChevronのCVCである。

ファンドⅠの投資対象についてEllis氏はTechCrunchの取材に、全米の企業に投資するもののヘルスケア、エネルギー、宇宙、気候など「ヒューストンの産業の強さを反映する」と語っている。ヒューストンは、前出のChevronをはじめとした複数の石油メジャーが本社や拠点を置き、米航空宇宙局(NASA)のジョンソン宇宙センターが所在。また、石油メジャーによる気候関連スタートアップへの投資も盛んだ。

さて、第二次Trump政権の成立により、前政権が進めたダイバーシティ&インクルージョン(DEI)を方向転換した現状がある。そこで、記事では反DEI(DeFi)からSLVへの反発の懸念はあるかと問うたところ、Ellis氏は次のように答えている。

「VCは誰にとっても利用しやすいものであるべきで、投資不足の多様なチーム(スタートアップ)が大きなリターンを得るまたとない機会を提供できると強く信じている」

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Ellis氏がSLVを立ち上げたのは、前述した投資関係の仕事をしてきた中、「自分がいる部屋で、黒人や褐色人種の顔が自分だけであると気付いたから」だという。その時期は、ブラック・ライブズ・マター(BLM)運動が盛んとなった、パンデミック期であったそうだ。

そして、2年という想定以上の時間がかかったものの、SLVの設立に漕ぎ着けた。