MicrosoftとCO280がCDR取引、12年間で360万トン超のCO2排出量を相殺

MicrosoftはCO280とCDR取引を行い、自社の排出量と取引で得た360万トン超のCO2排出を相殺する。「CO2」という文字と葉が描かれカーボンニュートラルに関する記事であると分かるアイキャッチ画像

ビッグテックのMicrosoft(米)と二酸化炭素除去(CDR)プロジェクトデベロッパーのCO280(カナダ)は11日、12年間で368万5000トンのCDRクレジット契約を締結したと発表した。

世界的に取り組みが進められるカーボンニュートラルで、多くの二酸化炭素(CO2)を排出する企業にとっては、排出を削減できた企業などからその削減分を購入することが、一つの手段となる。

こうした中で、CO280がCO2排出を削減する方法として採用するのが、パルプ・製紙工場のCO2回収だ。植物由来の物体を燃やしても、そこで発生するCO2は新たに生じたものとは見なされない。植物は、成長する過程でCO2を吸収し酸素を放出しているので、中に含まれるCO2は元からあったものと考えるためである。日本国内においても、木材の端材や朽ちてしまった木を燃やし発電するなどのバイオマス発電が、この考え方を元にしたカーボンニュートラルのための方法として、実施されている。

パルプ・製紙工場から排出されるのも、元は草木が吸収したCO2だ。それを空気中に排出するのではなく、回収し、恒久的に貯留すれば、元々CO2排出が実質ゼロであったところから、排出をマイナスにしたと見なすことができる。

CO280によると、全米の製紙工場のCO2排出量は年間8800万トンであり、回収、貯留によってCDRを導入するのに適した分野であると説明。工場の建て替えは行わず、改修だけで導入が可能だという。

こうした仕組みを前提として、MicrosoftはCO280からCDRクレジットを購入し、自社のCO2排出量の一部と相殺する。取引額は非公表となっている。

CO280のCDRは、他に金融のJP Morgan Chaseが2023年に購入している。