RinseとNoScrubs、2社の「洗濯」スタートアップが資金調達|実際に行われるサービスの相場感は?

米国でRinseとNoScrubsという2社の「洗濯」関連スタートアップが資金調達に成功した。両社のサービスを取り上げる。折りたたまれたシャツが写り洗濯のビジネスについて触れた記事であると分かるアイキャッチ画像

2025年2〜4月、米国で「洗濯」をテーマにしたスタートアップ2社が、相次いで資金調達に成功した。

カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とするRinseは2月20日、シリーズD資金調達ラウンドで2300万ドル(35億円。当時レート、以下同)を確保。また、テキサス州オースティンのNoScrubsも、2025年4月10日にプレシード資金調達ラウンドで200万ドル(3億円)を確保している。

なぜ、こうしたスタートアップにニーズがあるのか、どのようなサービスが展開されているのか、本記事で見ていく。

RinseとNoScrubs、2社の概要

まず、両社の企業としての概要から確認していく。

Rinseは2013年、Ajay Prakash CEOとJames Joun COOにより設立。「洗濯を楽にする」という理念の下、最初はサンフランシスコで事業を展開していた。創業から10年以上経った今では、全米の主要都市で事業を行う。

Prakash CEO(左)とJoun COO(Rinseプレスキットより)

一方、NoScrubsは昨年、設立したばかりだ。Matthew O'Connor CEOとSudhanshu Gautam氏が共同創業者として名を連ねる。まだパイロットプログラムを実施中の段階ということで、サービスを提供するのはテキサス州オースティンと同ヒューストンのみとなっている。

なお、Rinseが「洗濯を楽にする」を理念としたように、NoScrubsも洗濯する時間から人々を解放し、別の行動に充てられることを目指す。資金調達を周知するプレスリリースには、「米国人は年間500億時間を洗濯に費やしている」と記されているが、500億時間は誤植であるだろう。なお、競合企業のウェブサイトを見ると、年間の洗濯にかかる時間は240時間、という記述があった。

それぞれの料金体系は?

(pixabay)

料金体系は両社とも、サブスクリプションを基本としつつ従量課金のプランを設ける形だ。

まず、Rinseについて。サブスクリプションでは、洗濯物を入れるバッグを月に出す個数によるプランが設けられている。Rinseがウェブサイトに掲載している数値から、バッグはおおむね50リットルほどの容量であるようだ。このバッグを月にいくつ出すかによる料金は、1個のバッグあたりで以下の通りである。

  • 1個/月…75ドル(約1万700円)/個
  • 2個/月…72ドル(約1万300円)/個
  • 4個/月…70ドル(約1万円)/個

Rinseを従量課金で利用する場合は、ポンドあたり2.99ドル(約428円)と配送料が9.95ドル(1428円)かかる。1ポンドは、約454グラムだ。

一方、NoScrubsのサブスクリプションは、1回の集荷を20ポンド(約9キログラム)までを基本とする。その上で、各プランは以下の通りとなる。

  • スタンダードマンスリープラン…59ドル(約8400円)/月
    月2回集荷
  • ファミリープラン…199ドル(約2万8000円)/月
    月4回集荷

いずれも、基本の40ポンドを超えた場合は、1ポンドにつき2ドル(約290円)を加算する。

また、従量課金は1回45ドル(約6400円)で、サブスクリプションと同じく基本は20ポンドまで、それを超えるとやはり1ポンドにつき2ドルを加算する。

2025年に行われた両社の資金調達

最後に、両社が最近行った資金調達を取り上げる。

Rinseは2月20日、シリーズD資金調達ラウンドで2300万ドルの確保を発表。韓国のエレクトロニクスメーカーであるLG Electronicsが主導した。資金は拠点の拡大、実店舗の設置、設備投資に利用する。

(pixabay)

また、NoScrubsのプレシード資金調達ラウンドの成功は、4月10日に発表があり、200万ドルを確保した。こちらは、Initialized Capitalが主導し、Frontier VCも投資に応じるという形だった。Initialized Capital、Frontier VCのいずれも、ベンチャーキャピタル(VC)である。資金の使途は明らかでないものの、パイロットプログラムから本格的な営業への移行が考えられる。

なお、日本国内における同様のサービスは「洗濯代行」の名称で行われるケースが見られる。