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企業の垣根を越えて、トラック輸送で貨物を混載する動きが広がっている。最近では、大日本印刷グループと製紙の王子グループ、伊藤園と日清食品といった企業が輸送での協業を発表した。日本企業の場合、環境対応の他、人口減少による働き手の確保やつなぎ止めといった意味合いもある。
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米国企業は、人口減少に関する懸念は日本より小さいものの、カーボンニュートラルへの取り組みは社会から求められている。もちろん、トラック輸送の混載も、そのための手段の一つだ。
米カリフォルニア州のスタートアップ、Flock Freightは荷主と運送業者とをAIプラットフォームによって結び付ける。荷主に対してはコスト低減を、運送業者に対しては収益の増加を、そして社会的にはCO2排出の削減をコミットする。
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荷主の要望によっては、必ずしも混載での輸送になるとは限らない。しかし、Flock Freightはコスト面、環境面での優位性から、時間的余裕があれば混載を荷主に薦めている。
荷主側と運送業者側、それぞれの視点からFlock Freightの利用方法を見てみたい。
荷主が利用する際、最初に見積もりを取得する。この際、ウェブ上で引き取り日、配達日、荷物のサイズなどを入力。また、保険などのオプションも選択できる。
これらを入力すると、「Flock Direct」と「Standard」という2種類の見積もりを表示。Flock Directの方が、混載により効率的、環境に優しい輸送となるものだ。
なお、こちらの荷主向けガイドではStandardよりFlock Directの方が高価格の見積もりのスクリーンショットが掲載されている。しかし、この金額でしか発注できないわけではない。集荷日に柔軟性をもたせることで、値引きが可能だからだ。集荷日に幅をもたせると、集荷時点から混載を行う。
発注をすると、従来の宅配便などと同様に、追跡が可能。また、荷物の破損などがあった際のガイドもウェブサイトに掲載されている。
一方、運送業者側は、移動の日付、トラックの出発点、目的地などを入力。また、トラック全体が空いているか、それとも部分的な空きがあるかの入力欄も存在する。これらの情報を入力すると、発送を待つ荷物を表示。AIが、荷物の大きさやルートといった諸要素を考慮して、推奨するものだ。
運びたい荷物が見つかれば、運送業者が選択。その上で、希望の料金を入力する。つまり、ここで運送業者間の入札が行われ、実際の輸送は条件面で合致する業者に依頼される仕組みだ。
Flock Freightのウェブサイトを見ると、ENEOSや東芝といった日本企業も荷主として利用しているという。また、これまでFlock Freightに投資した企業には、ソフトバンクグループやVolvo Groupなどが存在する。
さらに14日には、シリーズE資金調達ラウンドの完了を発表。調達額は6000万ドル(89億円)で、プライベートエクイティ(PE)ファンドのO'Neil Strategic Capitalが主導した。また、シリーズEで投資したPEファンドのSusquehanna Private Equity InvestmentsのDean Carlson氏が、Flock Freightのボードメンバーとなったことも発表した。
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なお、シリーズEを発表するプレスリリースでは、サッポロホールディングス傘下の在米企業であるSapporo-Stone BrewingのChris Langmeadサプライチェーン担当副社長による、次のコメントも掲載されている。
「Flock Freightとパートナーシップを結んだことは、Sapporo-Stoneにとって非常に有益だった。彼らのナレッジと一流の運送業者との存在により、一貫したサービスと品質が保証されている。Flockとのパートナーシップを開始して以来、私たちの連携は飛躍的に発展し、サプライチェーン全体に大きな価値をもたらしている」