飲食店と利用客の接点をカバーするクラウド「Owner」。CEOが「YCから2度も断られた」と語るのに170億円超を調達できたサービス内容とは?

米国の飲食店向けビジネスクラウドであり、その開発企業名でもあるOwnerを取り上げる。レストランの店内写真で、飲食店向けアプリをつくるOwnerの記事であると分かるアイキャッチ画像

人間が生きる上で不可欠な、衣食住。その中で「食」は、自分でつくることにより好みの味にできたり安価に仕上げられたりする一方、外食はその手間や時間を省けて、自身の手づくりとはまた異なる味に仕上げられる。そういった点で飲食店は、衣食住の食を担う重要な存在といえるだろう。

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こうした飲食店をクラウドで支援するOwnerという米国のITスタートアップがある。13日、シリーズC資金調達ラウンドで1億2000万ドル(177億円)を確保した。

その調達を伝えるプレスリリースには、現代の小規模、個人経営の飲食店が抱える問題が記されている。要約すると、次のような内容だ。

20年前、ピザ店の薪焼きの香りは、客を呼び寄せていた。だが2020年頃に、すべてが変わった。世界はオンライン化し、COOVID-19によってその流れはさらに加速。今では消費者がオンラインでレストランを探し、オンラインで評価し、オンラインで注文している。もう元に戻ることはないだろう。Domino’sのような大企業には、この世界は適している。しかし、個人経営のレストランにとっては、そうではない――。

そこで、Ownerは個人経営や小規模のレストランが大企業にも太刀打ちできるクラウドを提供。プロダクトを見る前に、同社が「信念」として掲げる3点を取り上げる。

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1点目は、プロダクトに個々のカスタマイズをするよりも、個々のユーザーの売上増加を重視。2点目は、長期契約の「縛り」を設けず、ユーザーはサービスを止めたいときに止められることをコミット。さらに3点目として、サービスを止める際、ユーザーが顧客情報などをOwnerのプロダクトから持ち出せることもコミットする。

Ownerのクラウドは、ウェブサイトビルダーからフードデリバリーサービスの展開まで、飲食店と利用客の接点をさまざまなサービスでカバー。中でも目を引くのが、飲食店が独自のモバイルアプリを制作できるクラウド上のアプリ、そしてモバイルアプリ上で展開する利用客向けの特典プログラムだ。来店頻度が低い利用客にポイントを付与するなど、全国チェーンの飲食店に劣らぬサービスを、個人経営の飲食店が実施できる。

冒頭で触れたシリーズC資金調達ラウンドは、ベンチャーキャピタル(VC)のMeritechとHeadlineが主導。また、飲食関連を中心とした事業会社である戦略投資家も参加した。

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資金調達を終え、Adam Guild共同創業者兼CEOは、「Y Combinator(YC)から2度も断られた過去があるので、VCから調達できるとは夢にも思っていなかった」とコメントしている。