米国の「終活」ウェブサービス・Empathy。遺族のケアの他、昨年10月には相続関連のサービスも開始

米国の終活関連ウェブサービスであるEmpathyを取り上げる。同社のロゴが写り、解説する記事と分かるアイキャッチ画像

日本国内において、「終活アプリ」と呼ばれる種類のスマートフォンアプリが流通している。この場合、「自分が亡くなることへの準備」をする人が主なユーザーで、アプリによってエンディングノート機能に特化している、資産管理機能に特化しているなど、特長を持ったものが見られる。

一方、米国で終活関連のウェブサービス、スマホアプリを展開するのが、Empathyという企業だ。

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社名と同名のサービス「Empathy」は、遺族の包括的なケア、サポートを行うもの。ユーザーは利用を始めると、まずケアマネージャー(介護支援専門員ではなく遺族のケアを行うスタッフ)から画面上でいくつかの質問をされる。それを基に、Empathyはユーザーに適したプランを提案する。

また、葬儀場の検索、銀行口座の閉鎖、遺言検認手続きなどもEmpathyが代行できるという。その他、遺族のメンタル面でのケアや音声・文字コンテンツによる人の死に関したさまざまなガイド、ユーザー同士のコミュニティを設ける。

このように当初は、実際に終活を行う人というより、亡くなった後の遺族をサポートする事業を行っていた。

一方、2024年10月には新たなサービス「Empathy LifeVault」の提供を開始した。亡くなる人から若い世代への相続をサポートするもの。よって、オリジナルのEmpathyと異なり、ユーザーは被相続人、相続人の両者となる。

Empathy LifeVaultの機能として、法的に有効な遺言書や取り消し可能な生前信託といった「ドキュメント作成」、「資産の可視化」、「生命保険金の受け取り」、相続関連の文書を同サービスに「統合」などが挙げられる。

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とりわけ生命保険に関してEmpathyは、生保会社のNew York LifeとともにEmpathy LifeVaultの初期設計を行った。また、Empathyと生保・金融企業によるアライアンスがあり、スムーズな保険金請求にも関係していると見られる。Empathy以外のアライアンス参加企業は次の通りだ。

  • MetLife
  • New York Life
  • Allianz
  • Munich Re
  • Citi
  • Aflac
  • MassMutual
  • Securian Financial
  • TIAA
  • 住友生命
Empathyは5月29日、シリーズC資金調達ラウンドを行ったことを発表した。調達額は7200万ドル(103億円)。投資会社のAdams Street Partnersがリードインベスターを務め、General Catalyst、Index Venturesや前述のアライアンス参加企業の一部などが参加した。

資金の使途についてプレスリリースでは、「機能のさらなる深化、イノベーションの加速、プラットフォームの提供規模の拡大、リーチの拡大」と述べるにとどめている。