- リンクを取得
- ×
- メール
- 他のアプリ
世界的に見て、電気自動車(EV)の普及は、「まだまだ」といったところだろう。比較的、環境保全への意識が高いといわれる欧州でも主要国のEV普及率は20パーセント前後であるし、米国、韓国、日本に関しては10パーセント以下だ。EVの生産台数が多い中国にしても、ようやく50パーセントに近づいたというところである。
EVはユーザーにとって、航続距離が短い、充電に時間がかかる、充電場所を見つけるのが面倒、などといったネガティブなイメージが持たれやすい。
では、EV専用のカーシェアがあったら、試しに利用するだろうか。いきなり購入するよりは、ハードルが低そうだ。
<PR>
実際に、それをビジネスとして始めているのが、米テキサス州ダラスを拠点にピアツーピア(P2P)のEV専用カーシェアを展開する、Zevoである。P2Pなので、EVを貸す側も借りる側も、個人ということだ。
Zevoは2021年、Hebron Sher CEOとSaimah Chaudhry COOによって創業。プレスリリースを読む限り、事業環境が整ったのは2023年と見られる。
元々、Sher氏は米国のTuroというP2Pカーシェアリングプラットフォームのユーザーだった。2019年にElon Musk氏がTeslaのEVやロボタクシーの構想を語っているのを見て、Sher氏はEVのカーシェアでマネタイズできる将来を夢見た。しかし、なかなかそれが実現に至らないため、自ら起業したのだという(なお、Teslaのロボタクシーは6月、テキサス州でスタートする予定)。
<PR>
Sher氏はTechCrunchの取材に、Zevoの年間経常売上(ARR。12カ月間で決まって得られる売上)はすでに800万ドル(12億円)を超え、3500人以上が利用するための待機状態にあると語る。
なぜ、ある程度の事業の持続性を達成できているのか。それは、ユーザーがZevoを定期的に利用する背景があるからだ。ユーザーの9割はギグワーカーであり、UberやLyftで人を乗せたり、あるいは、フードデリバリーの配達をしたり、といった用途で利用している。
また、Zevoで借りられるEVの9割はTesla車であり、さらに1年間、Zevo上で車を貸し出せば購入費用の35〜65パーセントを回収できると、Sher氏は説明する。
日本国内で同様のプラットフォームを構築するのは、難しい。そもそも配車サービスはまだ規制が厳しい上、P2Pのカーシェアサービスがうまくいっていない現実もある。DeNAとSOMPOホールディングスが提供していたP2PカーシェアのAnycaは、借主が車を勝手に売却する問題が起き、また貸主・借主双方の満足度が高まらず、2024年いっぱいでサービス終了となった。
<PR>
とはいえ、自身の車の乗り方がEVでも通用するか、EVに乗るなら何に気をつけるべきかを、時間をかけて知るにはカーシェアも一つの方法となるだろう。日本だけなく、各国で同様のソリューションが生まれることを期待したい。