抹茶人気の世界的高まりで品不足に。ミレニアル・Z世代からのニーズと日本国内の猛暑が背景とReutersが伝える

世界的な抹茶人気の高まりと品不足を取り上げる記事。茶道具が写り、抹茶に関する記事と分かるアイキャッチ画像

世界的なインフレの中で、日本国民が困惑の声を挙げるのが米の価格高騰と品不足であるだろう。一方、海外の人々が入手に困っている日本産の食品がある。

それは、抹茶だ。

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4日、Reutersが日本の猛暑と国際的な需要の高まりにより、抹茶の品不足が生じていることを報じる記事を配信した。

先に日本国内の報道から見てみると、『京都新聞』5月14日朝刊は、抹茶の原料である碾茶の市場価格が8235円/キログラムとなり、昨年の1.7倍に高騰していると1面で伝えた。さらに翌15日の同紙朝刊では、高級品である宇治の手摘み碾茶の市場価格が1万2334円/キログラムと、過去最高値だった昨年の2.2倍になっていることも報じている。

また、6月22日の『日本農業新聞』では、同月に収穫する二番茶の相場高騰を報道。一例として、鹿児島県での市場価格が1633円/キログラムと昨年の3倍になったという。この要因の一つとして挙げられるのが、抹茶人気の世界的な高まりにより、従来、煎茶を栽培していた農家が碾茶(一番茶)の栽培へと切り替えた背景があるとしている。

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以上を踏まえReutersの報道に目を移すと、猛暑によって碾茶の収穫量が減少。一方で日本農業新聞と同様、このように供給が減少しているにもかかわらず、世界からの抹茶の需要は高まっていることを挙げている。

需要が高まっているのは、健康を重視するミレニアル世代やZ世代からの抹茶人気が高いからだという。

その上で、生産農家のヨシダ・マサヒロ氏のコメントとして「猛暑で木が傷んでしまったため」収穫量が例年より4分の1少ない1.5トンにとどまった、とのコメントを取り上げる。ヨシダ氏は茨城県古河市の農園「吉田茶園」の吉田正浩氏と見られる。

また、米ニュージャージー州の製茶会社であるOoikaのMarc Falzon氏は、「今年は収穫量が増えて品不足がいくらか緩和されることを期待していた人は多かったと思うが、どうやらそうはならないようだ」とコメント。これは前述の通り、二番茶以降の時期に栽培していた農家が一番茶・碾茶の栽培に移行していることを示唆するものだ。

Falzon氏はさらに、「今後さらに劇的な価格上昇が見られるのではないかと思う」とも述べる。

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世界的に需要が高まっている以上、日本国内の茶の価格も上昇することは避けられなさそうだ。もっとも、これを奇貨として茶や他の農作物、そしてその生産に活力が生まれることも期待したい。

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