AirbnbとPinterest、両社のCEOが時期を同じくしてAIの力不足に言及。その意図を探る

AirbnbとPinterestそれぞれのCEOが現状のAIについて実力が不足していることをコメント。AIのイメージ画像で、関連する記事と分かるアイキャッチ

AirbnbとPinterest、両社のCEOが時期を同じくしてAIに関する言及をした。いずれも第2四半期決算発表のタイミングでのもの。AirbnbのBrian Chesky CEOは「AIはまだGoogleの代替となり得ない」、PinterestのBill Ready CEOは「AIがユーザーに代わってショッピングをするのはまだ先の話となりそうだ」というのが話の趣旨である。

2人のコメントについて、取り上げる。

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Airbnb Chesky氏「まだ『新しいGoogle』と考えるべきでない」の意図

まず、AirbnbのChesky CEOのコメントについて。

TechCrunch(TC)に掲載されている、Chesky氏のコメント部分を引用する。おそらく、6日の第2四半期決算発表での発言と見られる。

「注意しておきたいのは、AIエージェント、つまりチャットボットをGoogleのように考えるべきではないということだ。まだ『新しいGoogle』と考えるべきではないと思う」

「ChatGPTを動かすモデルは独自のものではないということも忘れてはならない。(中略)私たちAirbnbもAPIを利用できるし、他にも活用できるモデル(GeminiやClaudeなどを指していると見られる)はある」

「私たちが気づいたことの一つは、単に最高のモデルを持っているだけでは十分ではないということだ。モデルを調整し、適切なアプリケーションに合わせてカスタムインターフェースを構築できる必要がある。そして、それが(AIがGoogleの代替となっていくための)鍵だと思う」

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インターネットの世界の中でGoogleが勝ち続けているのは、ウェブ検索において他の追随を許さない独自性を築いているからだ。あらゆるウェブサイト・ページをインデックス化し、それを独自のアルゴリズムによって最適化した状態でユーザーの画面に表示させる。

一見、そこまで難しいものなのか、という疑問が浮かぶかもしれない。だが、現実の話として今のところ多言語にわたってGoogleを脅かす存在は現れていない。しかし、ChatGPTにしろGeminiにしろ他のLLMにしろ、Googleほどの独自性や卓越性を持ったAIは現れていないというのが、Chesky氏のコメントの背景にある考えと受け止められる。

そして、Googleの独自のアルゴリズムと同様、AIの世界も「調整」「最適化」に成功した者が勝者となり得るということだろう。

もちろん、AirbnbがAIを全否定しているということではない。同社は、2026年にはAI検索を導入する予定だという。

Airbnbのアプリ画面(同社メディアアセットより)

Pinterest Ready氏のコメントは、AIがユーザーの嗜好を理解していない、との意図か

では、PinterestのReady CEOは、どういった意図のコメントしているのか。背景には、投資家がPinterestの出すユーザーに合った画像のレコメンドにAIが代替してしまうのではないか、との懸念がある。

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Ready氏の発言は、7日の第2四半期決算説明会によるもの。こちらも、TCに掲載されたコメントを引用する。

「(AIエージェントが)代わりに全部買ってくれるという発想が実現するには、ユーザーがどのように考えるかという点でも、非常に長いサイクルが必要になると思う。ユーザーは、非常に実用的な移動を除いて、何かを任せてすべてをやってくれるという覚悟ができているだろう」

「しかし、ユーザーが『Pinterest は私を理解してくれる』などと言うのは、アプリを開くと、本当に興味のあるもの、ユーザーの好みやスタイルに合ったものを、まるで優秀なパーソナル ショッピング アシスタントのように積極的におすすめしてくれるからだ」

PinterestのBill Ready CEO(同社プレス用アセットより)

先ほどのChesky氏のコメントと似ているようにも感じられるが、Ready氏はより一歩、踏み込んだ言及をしているのではないだろうか。つまり、AIがユーザーの嗜好を理解するまでにはまだ進化していない、それには時間がかかるのではないか、という意図を含んでいるように聞こえる。

なお、本件を報じるTCはこれと別の問題として、PinterestのコンテンツがAI生成の低品質なものであふれてしまっている現状にも、言及している。

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ジェイエイシーリクルートメント

気になるMeta LeCun氏の「予言」

つまるところ、Chesky氏はAIは独自性、最適化の面で力不足、Ready氏はユーザーの理解ができていない、といのが発言の趣旨となりそうだ。似ているようで、微妙な違いがある。

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MetaのチーフAIサイエンティストであるJann LeCun氏は、常々、「現状のAIは限界」「さらに進化するには形を変える必要があるだろう」といった趣旨のことを述べている。テクノロジー界隈ではAIに関連した投資が盛んだが、現状の技術がすぐに陳腐化してしまうかもしれない、との疑いの思いは持っておいた方がよさそうだ。

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