ナイジェリアのChowdeckとインドのRapido子会社、2つのフードデリバリー企業の事例

アフリカ・ナイジェリアのChowdeckとインドのRapidoのフードデリバリーを取り上げる。デリバリーバッグと自転車が写り、フードデリバリーに関する記事と分かるアイキャッチ画像

すでに定着した感のあるフードデリバリーは、日本国内においては配達員に仕事が回らず、そのために配達員が減り、顧客サービスが低下するという悪循環が指摘されている。もっとも、世界的に見ればまだ伸びていくと見られているビジネスだ。

今日は、アフリカ・ナイジェリアのフードデリバリー企業であるChowdeckと、インドの配車プラットフォームであるRapidoがフードデリバリーのための新会社を立ち上げたことを、取り上げる。

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フード関連はもちろんその他のアプリ開発も見積もりから

創業者のコロナ罹患が起業のきっかけ

Chowdeckが本社を置く、ナイジェリア・ラゴスの道路(pixabay)

ナイジェリアのChowdeckは、Babafemi Aluko共同創業者兼CEOの次のような体験をしたことにより、立ち上がった企業だ。

Aluko氏は2020年の大晦日、COVID-19に罹患。翌1月1日は他の多くの国がそうであるようにナイジェリアも祝日であり、食べ物を配達してくれる事業者がなかなか見つからなかった。ようやく見つけた配達業者からは、通常の4倍の料金を請求された。

そこで、他の国の状況をリサーチすると、インドは後述するようにいくつかの業者がフードデリバリーで競争している状況だ。しかし、それと同じことがアフリカ大陸ではできていない。

Aluko氏は自己資金を使い、3台のバイクで食べ物のデリバリーを始める。当初は、特定のレストランのデリバリーだったが、2021年10月にはベータ版のアプリをリリースし、さまざまなレストランのデリバリーを行うようになった、という経緯である。

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11日にTechCrunch(TC)が発信した記事によると、現在のChowdeckはナイジェリアだけでなくガーナも含めた11都市で展開。2万人以上の配達員のうち、半数以上は自転車でデリバリーを行い、到着までの平均時間は30分だという。

さらに今年6月には、同じくナイジェリアのPOS開発企業であるMiraを買収した。Miraは、食品、ホスピタリティー向けのPOSをリリースしており、「アフリカナンバーワンのスーパーアプリになる」(Aluko氏)という目標に向け、販売管理の面で必要なワンピースを手に入れたのだと受け止められる。

今月11日には、シリーズA資金調達ラウンドで900万ドル(13億円)を確保。やはりナイジェリアのベンチャーキャピタル(VC)であるNovastar Venturesが主導し、米Y Combinatorも参加した。

Chowdeckは、食品以外の配送事業も進めており、今回、調達した資金はダークストア(ECサイト販売の配送拠点となる店舗)の展開に利用する。

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手数料面で先行者に対抗するRapidoのフードデリバリー「Ownly」

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インドのRapidoは、昨年行った資金調達で評価額が10億ドルに達し、ユニコーン企業となった配車プラットフォーム開発スタートアップだ。

そのRapidoが、Ctrlx Technologiesという子会社を設立した上で、同国のバンガロールにおいてフードデリバリーを始めた。こちらもTCの取材に、同社のAravind Sanka共同創業者兼CEOが認めている。

フードデリバリーサービスやアプリの名称は「Ownly」。Androidアプリをすでにリリースしている。

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インドは、フードデリバリーの競争が非常に激しい。SwiggyやZomatoという先行企業が存在する。そのSwiggyとBain & Companyが共同で発表したレポートによると、インド国内でアプリなどを介したフードデリバリー市場は2030年までの間、18パーセントの年平均成長率(CAGR)で推移していくとされている。

前出のTCの記事によると、Ownlyは先行者に太刀打ちするため、最終的な価格をライバルより15パーセントほど安く抑える。こうしたことが可能になるのは、先行者がレストランからリカーリング的に手数料を徴収するのに対し、Ownlyは注文ごとの手数料とし、また手数料額を固定の金額としているためだという。

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冒頭で述べたように、日本国内のフードデリバリー産業は人口減少などの影響もあり、成長の勢いは今一つに感じる。しかし、日本企業はこの分野で海外に活路を見出すという選択肢が上るだろう。

プラットフォーム自体で参入する方法はもちろん、ChowdeckがMiraを買収したようにソフトウエアの部分を担うという策も挙げられる。また、フードデリバリーではないものの、Rapidoは台湾の電動バイクスタートアップであるGogoroとパートナーシップを結び、二輪車をバイクタクシーとして使用している。こうした戦略も考えられるだろう。

インド国内でバイクタクシーとして使われているGogoroの電動バイク(同社プレスリリースより)