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岸田文雄前首相は7月7日、X(旧Twitter)に「クレカ問題、やります。」と投稿した。山田太郎参議院議員の投稿を引用する形での発信である。
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クレカ問題とは、何か。
2024年頃から性的表現のあるコンテンツを販売するサイトで、決済にクレジットカードが使えない事象が起きている。ユーザーからは、VISAやMastercardといった発行枚数の多いクレジットカードで「決済に使えない」という声が上がる半面、日本発の国際ブランドであるJCBは使えるようだとの話も聞かれる。
また、国際ブランドが規制しているのではとの報道も見られる。
女性や立場の弱い人の権利を擁護するため、その侵害を想起させるコンテンツは排除すべきとの意見を述べる人がいる一方、クレジットカードがインターネット上での主要な決済手段となっている以上、それが利用できない状況は表現の自由の侵害にもつながり得るとの意見もある。冒頭で取り上げた岸田氏がこの問題に取り組む姿勢を見せている点は、どちらかというと後者の側の思いによるものだろう。
「クリエイターなどの活動を制限していない」とMastercard
では、クレカ問題の最新の状況を見てみたい。1日、Mastercardがステートメントを発信。クレカ問題に対するものだ。これを米メディアのTechCrunch(TC)が伝えている。
まず、Mastercardのステートメントは、本文が英文で500字に満たない非常に短いものとなっている。日本語訳した本文すべてをここで引用する。
《メディアの報道や主張とは異なり、マスターカードはいかなるゲームも評価しておらず、ゲームクリエイターのサイトやプラットフォームにおけるいかなる活動にも制限を要求していません。
当社の決済ネットワークは、法の支配に基づく基準に従っています。つまり、当社のネットワークではあらゆる合法的な購入が可能です。同時に、加盟店には、Mastercardカードが違法なアダルトコンテンツを含む違法な購入に使用されないよう、適切な管理体制を整えることを義務付けています》
ここで注目すべきは、「クリエイターなどの活動を制限していない」、すなわちMastercardとして圧力をかけているなどの事実はないという点と、「違法なコンテンツの決済にはクレジットカードを使わせない」という点の2つとなるだろう。
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しかし、このステートメントに反論するのがValveだ。ゲームコンテンツプラットフォームであるSteamの運営会社である。
TCの報道によるとValveは、要請したにもかかわらずMastercardはValveと直接の連絡を取らなかった、決済代行業者および加盟銀行を間に立ててMastercardとの連絡を取ることになった、その際、Steamは合法的なゲーム配信に努める方針であると説明したことを主張。しかし、決済代行業者はこうしたValveの説明を拒否し、Mastercardブランドへのリスクがあり、違法またはブランドを傷付ける行為との規則に抵触すると指摘したという。
最新情報という点では、ここまでがすべてである。
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決済を拒否しているのは国際ブランドではなく関連業者?
しかし、今回のMastercardとValveの説明は、双方とも嘘をついているわけではないと考えられる。というのは、国際ブランドが違法でない限りコンテンツ販売の決済を拒否しておらず、決済を拒否しているのは決済代行業者などのクレジットカード関連業者であると、以前から見る向きがあったためだ。
この点は、ジャーナリストの鈴木淳也氏が前出の山田太郎参議院議員への取材などを含め詳細に記述しているので、参考にしていただきたい。
クレカ問題は、さまざまな人の自由と権利がぶつかり合い、またコンテンツ大国である日本にとっては何らかの対応が不可避な問題だ。よって、深く冷静な議論が必要となる。深化のためにも、今後も新たな事実が分かればクレカ問題について取り上げていく。
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