Foxconnが米オハイオ州の工場を「謎の企業」に売却。EV生産向けに2021年取得

Foxconnがオハイオ州にEV向けとして取得した工場を売却。給電中のEVが写り、関連する記事と分かるアイキャッチ画像

2025年8月現在も時折、日産自動車の「買い手」として鴻海精密工業(以下、Foxconn)の名前が挙がっている。電気自動車(EV)事業を強化していくことが、Foxconnの目的だ。しかし、米国ではFoxconnのEV事業は、うまくいっていない。

その象徴的な存在であったオハイオ州の工場を、FoxconnがCrescent Dune LLCという企業に売却したことが明らかになった。米メディアが伝えている。

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時系列の順に、経緯を見ていきたい。

EV市場への参入を目指すFoxconnは2021年以降、複数のスタートアップを買収している。その1つが、EVスタートアップのLordstown Motorsである。Lordstown Motorsは、かつてGeneral Motorsの工場であったオハイオ州の不動産を保有していた。Foxconnは、Lordstown Motorsに出資した他、この工場を購入。北米におけるEVの生産拠点とし、さらにR&D(研究開発)拠点にもしていくと明言していた。

しかし、Lordstown Motorsは2023年に破産申請。なお同年には、やはりFoxconnが出資していたEVスタートアップである、IndiEVも破産申請を行っている。

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そして、Foxconnはこの度、オハイオ州の工場の売却に至ったという流れだ。

今回の売却は、Lordstown Motors関連の事業を清算する意味合いがあると見られる。工場の不動産は8800万ドル(130億円)で売却した他、機械を2億8700万ドル(423億円)で売却した。なお、Foxconnは2021年の契約時、工場を2億3000万ドル(261億円。当時レート)で購入していた。

また、売却先のCrescent Duneは、「謎の企業」といったニュアンスで報道されている。FoxconnはCrescent Duneを「既存のビジネスパートナー」と説明しているが、Crescent Duneの設立は取引のわずか12日前だという。

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こうした米国での経緯を振り返ると、Foxconnにとって日産を手中に収めることはEV事業での巻き返しで大きな力となり得る。日産もまた厳しい経営状況にあるが、少なくともEV分野では世界的に見ても先行組といえる。