9月15〜19日の資金調達まとめ・その1|MarqVision、Nothing Technology、Kredete、Dyna Robotics、Terra Security

2025年9月3週目の資金調達を取り上げる。100ドル札が写り、資金調達に関する記事と分かるアイキャッチ画像

9月3週目に発表があった海外スタートアップの資金調達を、複数回に分けて取り上げる。初回は、週初日の15日に明らかとなった5社の資金調達となる。

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MarqVision|シリーズBで4800万ドル

AIエージェントと知的財産法務を組み合わせたプラットフォームを開発。ブランドの保護を目的としたものだ。対象となる業界は、ファッションに限らず美容、ゲーム、医薬品、エンターテインメント、自動車、電子機器など多岐にわたり、350社が導入している。

ブランドの保護というと偽造品への対処が思い浮かぶが、それだけにとどまらずSNSの偽アカウント検出や商標管理、提携する法律事務所を介した各国での実地調査なども行える。

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15日、シリーズB資金調達ラウンドで4800万ドル(約71億円)の確保を発表。ベンチャーキャピタル(VC)のPeak XV Partnersが主導し、Salesforceのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)であるSalesforce Ventures、Coral Capitalなどが参加した。

資金は、「ブランドが存在するあらゆるデジタルおよび物理的なタッチポイントを管理するという考え方へと転換する」ために利用するという。プロダクトの拡充、マーケティング強化などが想起される文面だ。

また、Salesforceは投資だけでなく、効果測定の機能強化やMarqVisionの市場開拓で支援を実施。VCのCoral Capitalも、MarqVisionの日本進出でサポートを行う。

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Nothing Technology|シリーズCで2億ドル

Nothingのスマートフォン「Phone(3)」(Nothing Technology Japanプレスリリースより)

Nothing Technologyは、英国のスマートフォンメーカー。英国以外にも進出しており、特に米国市場ではAppleとSamsungの二強に割って入ろうとしていることを、6月に本メディアでも取り上げた。

関連記事:英スマホ製造Nothing、「Phone(3)」を米国で発売へ。「支配する2社と異なるものを人々は求めている」とCEO

米TechCrunch(TC)の記事(※4)では、Nothingの世界シェアは1パーセントに満たないものの、インド市場では2パーセントを獲得しているとの調査会社のデータを挙げている。もっとも、グローバル展開に鈍化の傾向が見られるとしている。

また、プロダクトではAIとパーソナライゼーション機能を取り込んだOSの開発を目指す。

15日、シリーズC資金調達ラウンドで2億ドル(約295億円)を確保。米国の投資会社であるTiger Globalが主導した。

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Kredete|シリーズAで2200万ドル

本社を米ニューヨークに置くフィンテック企業だが、同社のウェブサイトを読む限りメンバーの多くがアフリカ系の人々と見られ、顧客とするのもアフリカ以外で暮らすアフリカ移民としている。アフリカ移民に対しステーブルコイン決済と送金ができるフィンテックを提供しつつ、信用を高めより良い金融サービスへアクセスできるようにすることが、Kredeteのパーパスだ。

具体的には、送金をするごとにユーザーのクレジットスコアが伸び、またKredeteで期日通りの支払いをしていれば信用調査機関に報告。これにより、ユーザーの信用が高まっていく仕組みとなっている。同様の仕組みの貯蓄プランも設ける。

15日、シリーズA資金調達ラウンドで2200万ドル(約32億円)を確保。チュニジアをはじめとしたアフリカに拠点を有するプライベートエクイティ(PE)ファンドのAfricInvestが運営するファンドなどが応じた。資金で、カナダや英国をはじめとした主要欧州市場への進出を図る。

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Dyna Robotics|シリーズAで1億2000万ドル

AI搭載型のロボット開発企業。今年4月、基礎モデルとなる「Dynamism v1(DYNA-1)」というロボットを発売した。DYNA-1は2本のアームで構成され、ナプキンを折り畳む作業を収めた動画が発表されている(※8)。

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15日、シリーズA資金調達ラウンドで1億2000万ドル(約177億円)を確保。Robostrategyなど3社の投資会社、VCが主導し、Salesforce Ventures、NVentures(NVIDIA系)、Amazon Industrial Innovation Fund、Samsung Next、LG Technology Venturesといった多数のCVCが参加した。

資金は、人材確保と開発に利用する。

資金調達を周知するプレスリリースに掲載されたヒューマノイド

なお、DYNA-1は日本の自動車工場で使われているようなアーム型ロボットを小さくしたような形だが、今回、発信されたプレスリリースには上のヒューマノイドの写真を掲載。こうしたロボットで作業を行うことを目指していると見られる。

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Terra Security|シリーズAで3000万ドル

AIを活用したコンピューターセキュリティーに取り組む企業。イスラエルと米国に拠点を置く。

システムやネットワークのセキュリティーを評価するため、開発者などはペネトレーション(侵入)テストという模擬的な攻撃を行うケースが見られる。しかし、ペネトレーションテストは現在に至るまでの数十年間、ツールを利用しつつも人の手が加わる部分が多い作業となっている。

そこでTerra Securityは、AIを活用しペネトレーションテストを自動化するプラットフォームを開発する。

15日、シリーズA資金調達ラウンドで3000万ドル(約44億円)を確保。VCのFelicisが主導し、DellのCVCであるDell Technologies Capitalなどが参加した。資金は、想定する攻撃対象企業(業種)の拡大、人材確保、市場開拓に利用する。

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参考文献
※1:MarqVision
※2:MarqVision Lands $48M Series B to Power Brand Control and Revenue Growth for Global Brands(MarqVisionのプレスリリース)
※3:英国のNothing、2億米ドルを資金調達し、評価額は13億米ドルに(Nothing Technology Japanのプレスリリース)
※4:Nothing closes $200M Series C led by Tiger Global, plans AI-first device launch(TC)
※5:Kredete
※6:Dyna Robotics
※7:Dyna Robotics Raises $120 Million to Advance Robotic Foundation Models on the Path to Physical Artificial General Intelligence(Dyna Roboticsのプレスリリース)
※8:Dyna Robotics Unveils DYNA-1: The First Commercial-Ready Robot Foundation Model Offering Fully Autonomous, Round-the-Clock Dexterity(Dyna Roboticsのプレスリリース)
※9:Terra Security