Spotifyが同意なきサブスクリプション契約の疑いで、米上院議員がFTCに調査を要請。契約により著作権料も圧縮

米国のSpotifyで消費者問題・著作権関連の問題が発生。屋外でヘッドフォンを使い音楽を聴き、Spotifyに関する記事と分かるアイキャッチ画像

Spotifyが利用者の同意を得ずに高額なプランに加入させた疑いがあるとして、2人の米上院議員が連邦取引委員会(FTC)に調査するよう要請する書簡を送付した。事実であれば、不利益を被るのはユーザーだけでなく、後述するように権利者の著作権料収入にも影響が及びそうだ。

<PR>

DAZN for BUSINESS

書簡を送付したのは、Marsha Blackburn議員(テネシー州選出、共和党)とBen Ray Luján議員(ニューメキシコ州選出、民主党)。書簡の内容は、Spotifyが利用者の同意を得ず、通常のサブスクリプションプランから高額なバンドルサブスクリプションプランに変更したと主張する。

<PR>


TechCrunch、ならびに、Varietyの報道を総合すると、詳細は次のようなものだ。

Spotifyは2024年3月、米国でのサービスにつきプランの見直しを実施。プレミアムプランにオーディオブックを15時間、聴けるプランをバンドルし、料金は個人会員で11.99ドル(1800円)、家族会員で19.99ドル(2900円)とした。いずれも、値上げであったという。

関連記事:Spotifyが米国・iOS向けオーディオブックで購入機能を再び搭載。ゲーム「Fortnite」の判決を受けて

バンドルプランには利用者らからの反発もあったといい、Spotifyは音楽のみを聴ける「ベーシックプラン」を大々的な広報をせずに再開した。しかし、ベーシックプランに加入できるのは、一部の既存利用者のみ。また、バンドルプランからベーシックプランへの移行は、利用者が自身の手で行う必要があり、また、広報されていないこともあり移行には複雑な操作が必要だったという。

これらは、日本国内のサブスクリプションサービスにもありがちな話だ。しかし、問題は著作権料にも及ぶ。

日本の国立国会図書館に相当する米連邦議会図書館著作権使用料委員会の規定で、このようなバンドルでのコンテンツ購入は配信業者が支払う著作権料率を圧縮できる。そのため、送付された書簡には、「Spotifyの意図は明らかだ。つまり、ソングライターとレコード会社に支払う法定ロイヤリティーを大幅に削減するのが意図である。私たちのクリエイティブコミュニティーに損害を与えただけでなく、消費者にも損害を与えた」と記された。

SpotifyはVarietyの取材に、「サービス拡大と値上げへのアプローチは業界標準。値上げの1カ月前にユーザーへ通知しており、簡単に解約できるプランと複数のプランを用意している。消費者に信じられないほどの価値と最高クラスの体験を提供する」とコメントした。

米国におけるサブスクリプションサービスの問題では、4月にやはりFTCがUberを提訴したことを取り上げた。

関連記事:FTCがUberを提訴|サブスクの料金や解約方法の不明瞭さが不正と主張

また、先ほども述べたように日本国内でもこうした問題は起こることがある。

<PR>

今回のSpotifyのケースでは、利用者が注意したところでより合理的な手段を見つけるのは非常に難しい。事業者側の誠意ある対応が求められるとともに、上院議員がアクションを見せたことから分かるように、公的機関の監督も必要となりそうだ。