農家の「ソリューション企業」として存在する米Farmer's Business Networkとは?農学特化型LLMもリリース

米国で農畜産業関連の事業を行う企業、Farmer's Business Networkを取り上げる。同社のロゴが写り、関連する記事と分かるアイキャッチ画像

日本国内ではこのところ、気候変動などを要因として農作物の出来が芳しくなかったり市中に品物が出回っていなかったりといった事態が続いている。米の不足は多くの日本人が嘆いていることだし、APHORMEでは日本の抹茶が海外で入手が困難になっていることも伝えた。

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一方、人間は食べなくては生きていけない以上、農業や畜産といった産業はどれだけ時代が変わっても求められ続ける。そして、これらの業種に従事する人のための「ソリューション」も必要だ。

今日、取り上げるFarmer's Business Network(FBN)は、まさに農家のソリューションとなる企業。2014年設立で、米カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置く。

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FBNは、農家の助けになるさまざまな事業をしているが、とりわけ主要な機能といえるのがマーケットプレイスとしての側面だ。このマーケットプレイスでは、農家は買う側にも、売る側にもなる。

まず、農家が買う側となる場合、農業で必要とされる多種多様なものが取り揃えられているが、特に必要不可欠なものが「種子」であるだろう。FBNは、トウモロコシや大豆などの種子、6000種を米南東部の13州向けに販売する。

他にも、肥料や家畜向けの医薬品、防犯用の有刺鉄線に至るまで、農畜産業に関するありとあらゆるものが売られている。

一方、農家が「売る側」になる場合は、穀物の取引が中心。栽培する各農家と必要とする大企業との仲介を、FBNが行う。

FBNの事業はこれだけにとどまらず、農業に特化したローンなど金融商品の販売、農家へのコンサルティングなどを展開している。

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7月28日、FBNは5000万ドル(74億円)の資金調達を行ったと発表。GV(Googleのコーポレートベンチャーキャピタル〈CVC〉であるGoogle Ventures)などが投資に参加した。

この資金の使途の一つに、AIへの投資を挙げている。FBNはすでに、「Norm」という農学に特化した大規模言語モデル(LLM)をリリース。将来的には、財務やリスク管理などの機能も、Normに追加していくという。

FBNのDiego Casanello CEOは、「AIによって、農家会員の皆様に、よりパーソナライズされ、より適切な洞察を提供できるようになった。同時に、マーケットプレイス運営を自動化する新たなツールも提供し、コスト削減と顧客体験の向上に貢献している」とコメントした。

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日本の場合、FBNの役割をJAが担っている側面もある。今後、日本国内でどのような農業政策を進めていくにしても、ソリューションのアップデートは絶えず行っていく必要があると、FBNという企業から感じられる。